年末調整で受けることができない所得控除について

 明日からいよいよ12月、年の瀬に向けて何かと慌ただしい時期となりますが、税務の世界では『年末調整』という一大イベントが始まります。

 さて、その『年末調整』では所得税法に定められた14種類の所得控除のうち、次の3つについては年末調整で控除を受けることができず、控除を受けるために確定申告をする必要があります(ふるさと納税におけるワンストップ税制の適用を受ける場合を除きます)。

雑損控除災害、盗難、横領によって住宅家財等に損害を受けた場合
医療費控除自己又は生計を一にする配偶者や親族の医療費を支払った場合
寄附金控除国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄附金を支出した場合

 上記の3つの所得控除のうち、あまりお目にかからないものが『雑損控除』であります。

 雑損控除の金額の計算は、次のいずれかのうち多い方の金額となります。

  1. 差引損失額 - 総所得金額等 × 10%
  2. 差引損失額のうち、災害関連支出の金額 - 50,000円

  ※差引損失額とは、損害金額と災害関連支出の金額の合計から保険金などにより補填される金額を差し引いた金額をいいます。

 その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人については、上記の雑損控除に替えて災害減免法による所得税の軽減または免除を受けることもできます(但し、盗難や横領による損失を受けた場合は雑損控除のみです)。

 雑損控除と災害減免法のどちらを選んだ方が有利となるかの判断は難しいものがありますので、該当する事象が起きた際にはぜひ当事務所にご連絡下さい。