サラリーマンの副業収入問題に決着

シェアリングエコノミー等(民泊・カーシェアリングなど)の「新分野の経済活動に係る所得」や「サラリーマンなどの副業に係る所得」は、昨今の所得税の確定申告について「事業所得」か「雑所得」かの所得区分の判断が難しいといった問題がありました。

 例えば、サラリーマンの副業に係る所得を実態として事業的規模に至らないにもかかわらず事業所得として申告し青色申告特別控除を適用、また損失が生じた場合にはその損失を給与所得から差し引き(損益通算)、所得税の納付を少なくするという節税方法が数多くみられました(雑所得は、青色申告特別控除・損益通算の適用なし)。

そこで国税庁は、これらの副業収入が「事業所得」か「雑所得」かの判断基準を明確化しました。

10月7日、国税庁は「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)を公表しました。改正通達では、「社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判断することを原則とした上で「その取引を記載した帳簿書類等の保存」があれば概ね事業所得に該当し、その他は業務に係る雑所得に該当することとしました。

また、帳簿書類等の保存があっても次のいずれかに該当する場合は、「雑所得」に該当することとされました(「雑所得の範囲の取扱いに関する所得税基本通達の解説」より)。

➀その所得の収入金額が僅少と認められる場合

例えば、その所得の収入金額が、毎年(概ね3年程度)300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合には「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。

②その所得を得る活動に営利性が認められない場合

  その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組を実施していない(収入を増加させる、あるいは黒字にするための営業活動をしていない)場合は「営利性が認められない場合」に該当するものと考えられます。

このルールは2022年の所得税の確定申告から適用される見通しです。