民法における相続人と、相続税法における相続人の概念は基本的に同じですが、相続税法には『法定相続人』について民法と異なる独自の取り扱いがあります。
相続税法における法定相続人とは、相続放棄が行われた場合に、その相続放棄がなかったものとした場合の相続人をいいます。つまり、相続放棄を行った相続人はその相続開始の日に遡って相続人ではなかったものとされますが、法定相続人には該当することになります。
なにゆえ相続税法において民法と異なる取り扱いが必要なのかといいますと、相続税の計算において法定相続人の数が重要となるからです。下記の項目については、その法定相続人の数によって相続税の計算に影響があります。
〇 生命保険金及び死亡退職金の非課税額
〇 相続税の基礎控除額
〇 相続税の総額
意図的に相続放棄をすることで相続人の数を増やし、相続税の計算において減額を図ろうとする行為は、租税の公平性の見地から認められないということになります。
また、民法において養子の人数に制限はありませんが、相続税の計算において法定相続人の数にカウントする養子の人数は、
〇 被相続人に実子がいない場合 ・・・ 2人まで
〇 被相続人に実子がいる場合 ・・・ 1人まで
という制限があります。